2.建物の特徴

それでは、以前の建物と比べながら、特徴をお話しします。 

 第一に修復した「本館」は伝統和風建築の建て方「木造軸組工法(もくぞうじくぐみこうほう)」で建てられています。昭和4年の大火の後、約1年半かけてつくられ、先の震災で軒裏がすべて流されました。2階よりも道路にせり出した1階部分です。震災後間もなく倒れないよう応急工事だけをおこない、平成28年秋に解体。流された軒裏は新しい材料で継ぎ足しています。 

 第二に以前は細長く、変型した敷地に目一杯建てられて、「本館」と「蔵」が一直線に並んでいました。歩道にせり出している線が以前の敷地です。区画整理による道路拡張で同じ位置に建てるのは難しく、蔵と離さざるを得ませんでした。そこで本館と蔵をつなげる平屋建ての「新館」を設けています。 

 第三に建物が扇のような形をしています。後ろに回ってご覧になるとどれだけ変型しているかよく分かることでしょう。店の間口は広いですが、後ろはわずかしかありません。

 

 第四に建物が扇型なので、柱や梁の角度も様々です。同じ形の柱はわずかで、鋭角だったり鈍角だったり、木造建築のあらゆる技法を使った、匠の技が散りばめられています。 

 第五に少しでも火事を防ぐための工夫が凝らされています。壁は竹と縄で編んだ格子を土で固め、その上に金属をかぶせています。正面は銅板で、お隣さんとわずかなすき間しかなかった側面は波形トタンでした。山側にある銀色の部分がそれで、修復工事で一部だけ残しました。 

ちなみに上と下で色が違うことにお気づきになりましたでしょうか。下の黒い壁が、津波の押し寄せた高さです。 

 第六に新しく設けた「新館」は「21世紀の土間」をコンセプトに、蔵の奥にあった台所をあえて道路側へつくりました。それはこれまでお米を通じて食に携わり、これからも地域の食文化に貢献していきたいという想い、新しいことに挑戦し続ける進取の精神を引き継いでいきたいという想いを込めています。ここで普段は調理を行い、炊き出しやワークショップなど食のイベントにも活用できるよう作られています。さらに「本館」の伝統和風建築の構造や蔵がよく見える廊下を作りました。